空港電車が画期的な移動手段となるのか?
スカルノハッタ空港と中央ジャカルタのBNIシティ駅(『マンガライ駅』まで延長)を結ぶ空港鉄道が2017年12月26日に開通しました。
基本情報
・車両は6両編成で乗客定員は約270人
・全長約36.4キロで所要時間55分、30分間隔で1日42往復
・料金は片道7万ルピア
乗車券は電子マネーのみの対応で駅で予約・購入でき、スマホアプリでの購入にも対応しています。空港鉄道線の発着の『スカルノハッタ空港駅』に到着後は、昨年9月に開通した3ヶ所のターミナル結ぶ全自動無人運転車両システム(APMS)の『スカイトレイン』に乗り継げるようになっています。
列車移動が渋滞を避ける新たな足となり、またターミナル間の交通渋滞も気にしなくてもいい!と本当になるのなら、画期的な進化であることは間違いない!!しかし実際に乗車しないと見えてこない部分も多々ある…
本当に利便性が高いのか?タクシーより便利?
どんな車両で乗り心地はどうか?
初乗車でも迷うことなく乗り継ぎできるか?
そのあたりを検証すべく『空港鉄道』・『スカイトレイン』に実際に乗車してみることにしました。
運賃は7万ルピア。車両設備は申し分なし!
平日の昼過ぎ、乗客が少ない時間帯ですが、スディルマンの『BNIシティ駅』から乗車して空港を目指してみます。真新しい『BNIシティ駅』の大きなガラスの自動ドアを抜けて、坂道エスカレーターを昇れば、切符売り場と改札があります。英語が併記されている案内板に従えば迷うことはないです。ちなみに3階が待合スペースになっていました。
すでに待機している電車に乗り込みます。開通まもないとはいえ、整然とした綺麗な車内に驚き。通路を挟んで二人掛けシートが並ぶ。天井や出入り口付近には日時や行き先を告げる電光掲示板が設置され、WiFi完備で清潔なトイレも数カ所にあります。また連結部付近にはスーツケースなど大きめの荷物置き場もあります。
さらにすべての二人掛けシートの中の肘掛け奥にUSD対応の二つの充電口が付いています。
片道7万ルピアの乗車券(将来的には10万ルピアに値上げする予定)は、インドネシアの物価からすれば高額設定な気がしますが、設備を思うとそれに見合うだけの近代的な車内環境が整っているといえなくもない感じ。
出発するとしばらくはジャカルタ市内北部の住民の生活感が漂う下町エリアを走り、やがて広い車窓に緑の田園地帯が広がっていきます。揺れの少ない乗り心地や車内の空調も快適で申し分なし!
走ること55分、定刻通りに『スカルノハッタ空港駅』に到着。終着駅らしい行き止まりのプラットホームで、車両とホームは完全にガラスで仕切られていました。空調が効いた室内ホームは近代的で白を基調にした長い廊下に思えるほどです。
そのままホームを直進し、バーコードをかざして自動改札を抜けると左右が待合スペースの広場に出ます。中央部にはエアラインの自動チェックイン機が数台設置されています。航空会社にもよるのですが、搭乗手続きを駅構内で済ませることも可能なようです。そこからは案内表示にしたがって通路を進み、エスカレーターで2階に昇ればターミナル間を結ぶ『スカイトレイン』の駅の一つ『IB駅(Integrate Building)』のホームにたどり着くことができます。
スカイトレイン
『IB』からは『T1』方面と『T2』・『T3』方面に別れる。『スカイトレイン』の運行は26分間隔で2路線を使用し、いずれか目的のエアラインのターミナルを目指すことになります。
路線は大きく弧を描くような形でターミナル間を結ぶが『スカイトレイン』の名前の通り、車内から近隣を一望。ただ驚かされたのはスピードの遅さ。移動距離が短いとはいえ、おそらく時速30キロ以下だと思われます。
開通時は、インドネシア初の『自動無人運転車両システム』とのふれこみで注目されていましたが、今回はなぜか有人運転。さらに女性スタッフがマイク片手にうぐいす嬢となって車内アナウンスを担当。そこはいかにもインドネシアらしく、ご愛嬌(笑
結論
『スカイトレイン』は時間帯にもよりますが、かつてのシャトルバスやタクシー利用時の渋滞を思えば、効果的な移動手段だし、乗り継ぎも簡単なため利用価値は高いと思います。
一方、『空港鉄道』は朝夕の渋滞の時間帯であれば利用価値も高いかもしれませんが、特に料金が安いわけではないので、早朝や深夜であれば自由度の高いタクシーに軍配が上がるように思われます。BNIシティ駅まではタクシーでいくとなると、最初から空港までタクシーで行った方が、早いし安いという結果になるんじゃないでしょうか…..
とはいえ、昨今のインドネシアの経済発展を体感できるシンボル的な存在ゆえ、鉄道マニアならずとも、一度は乗車して自分の目で確かめてみて!